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「すいません、なんでもないですから」  と、山本が愛想良く周りに声を掛ける。 「で、言われたのはそれだけ?」 「うん、それだけ。ジュリちゃんが盗ってるなら本人に言えって、だめなら現場保存して警察に言うしかないよって言っただけ」 「そっか」  新田が苦虫を潰したような顔になった。 「あのな、最近店で変な薬が流行ってるって聞いてるか?」 「あ、うん。それは聞いてる。あちこちから・・・」 「なんか、大きな売人のグループが絡んでるみたいでな、ジュリとサエもそれが主催する麻薬パーティーに行ったんだよ」 「は?」  一瞬リョウの顔が浮かんだ。 「麻薬、正確には覚醒剤だったよな?」  こくんとジュリが頷く。 「それのパーティがMホテルのスィートルームで有ったらしい」  Mホテルと言うとここいらでは一番高級なホテルだ。 「で、なんでカナイを呼んだかって言うとな。ジュリが薬に酔っぱらってるのをたまたま店に顔出してた新田が見つけて、問い詰めたらさっきのパーティーに行ってきたって話になった。それでバレてからはジュリはもう薬はやらない、止めると約束した。だけどな、よく巷で言う様に、簡単に薬の味を忘れる訳じゃない。それこそ死にもの狂いで、自制して周りも厳しく監視して、やっと逃れれるんだ。それで、ジュリから聞き出した後、サエも捕まえて止めさせようとしたんだが、あいつは抵抗して逃げた」
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