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聞こえるか、聞こえないかぐらいの小さな声で聞いた。
「ああ、全員と思っていい」
それを聞いて、じゃあなんで自分はその中に居ないんだろうとか、声も欠けられなかったんだろうとか色々考えた。リョウは薬をやっていると告白して、どうしてカナイに勧めなかったんだろう。
「待って、確証あるの?」
「信じられないだろうな。俺も信じられん。こんな蔓延してるとはな。確証なんか、目つき見てれば分かるよ、昔やってた仲間と同じ目をしてるし、テンションが高すぎる」
「・・・じゃ・・・なんで私は今まで声を掛けられなかったの・・・?」
「お前自分から薬売ってるか?とか気分良くなる薬無いかとか、痩せる薬無いかとか、誰かに聞いたりしたことないじゃないか?」
確かにない、リョウにも聞かなかった。みんながハイテンションで店を盛り上げてても、私も負けじとハイテンションで盛り上げてた。その分、ストレスも大きかったけど。それでもみんな頑張ってるんだからって言い聞かせてやってきた。ダイエットが続かないのも、ただの自制心がないせいだと思ってやってきた。
「楽に痩せる方法があるなら手を出したい、店なんかでもテンション上がらない日もあるだろうに、それでも毎日上げて行かなきゃいけないだろ。そういうふっとした弱みにやつらは付け込むんだよ。お前が幸い薬に手を出してないってことは、目つきを見てれば分かった。今までも関わったことがないってこともな」
そう言うと、山本はカナイの肩に手を掛けた。
「で、なんでお前を呼び出したかって言うと。もうサエには関わるなって言っておきたかったんだわ」
「私に・・・?」
「ああ、今までも少なからず店で頑張ってるお前を見てきたからな」
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