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「それだけ?」  もっとお願い事があるのかと思ったのだ。 「それだけって?」 「だって、リョウタはどうなるの?サエの親が面倒見てくれるの?」  山本は後頭部を掻きながら、答えに渋っているようだ。 「ジュリちゃんはそれでいいの?2個1で入ってきた友達でしょう?」  リョウにはタマキと親が居た、サエはどうなのか。 「カナイあのな、ジュリにそれを求めるのはしんどいぞ」  見かねた新田が話し出した。 「いいか、薬をやった人間ってのは、禁断症状が現れる。これはとても辛い。辛いからまた薬に走る。それを止めるには24時間ずっと見ていないといけないってことだ。つまり、監視だ。それがお前にできるか?ジュリは友達だが、一緒に薬をやった人間だ。向こうに引きずられるに決まってる。俺は仕事を休んでこの1週間ジュリを見てきた。だが、サエもリョウタも見るのは俺にはできない。カナイはそれを分かってて言ってるのか?」  そこまで捲し立てて、新田は黙った。 「それじゃ、リョウタはどうなるの?」 「サエの実家の電話をジュリが知ってたから、なんとかならないかって掛けてみたんだよ。そしたら『あんな子知りません』って電話を切られた。ほとほと呆れたね、あれでも親かよ。あんな親じゃサエもグレるわ。一人っ子だって言うのにな」  今まで知らなかったサエの過去を聞いて、悲しいと同時に深い共感を覚えた。 (もっと話を聞いてあげてれば良かった。そしたらこんなことに・・・)  その時ふと、閃きが走った。
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