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 打ち合わせ通り、駅前のコンビニの近くでサエを待った。  山本は言った。 「いいか、拉致監禁は犯罪だ。やるなら十分な根拠が無ければいけない、身体の危険があるとかな。だから、一旦会ったら説得をしてみる。それでだめなら他の方法を考えるから」  新田は車の中、山本は駅の階段の影に隠れていた。  サエには泥棒が入ったことを同情し、お金もないだろうからごはんを奢るから、リョウタと一緒に来てほしいといった内容のメールを送った。  本当はお金を貸してあげる、と打ち込みたかったのだが、それだけはやめておけと山本に止められた。 「嘘を付けば、あいつは絶対に恨んでくる。どんなに小さな嘘でもな」  それがサエの性格だと言うのだ。
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