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 それからは誰の監視も苦情も届かないはぐらあやかしとして生きることにした連。それは凡そ五百年近くに及んだだろうか。  その間に何となく気の合うはぐれあやかし仲間も出来、人間を屠るよりは脅して練り歩く方が何倍も面白おかしいことに気づいてからは、奇しくも劫の言葉を守るような結果を生んでくれたものの、人間のことを許したことは一度もなかった。それと。  気に入らなかった白の態度。ヤツは何時だって酒呑童子の右腕だった。それなのに酒呑童子をみすみす死なせ、鬼からあやかしという腑抜けた存在にさせたのは、一重にヤツの失態だった。だから何も言わず劫にもつき従って居るのだと思っていた。が。  その白が劫よりも大事な存在を作った。それは連にとっては裏切りであり、報復の機会を白自ら与えてくれたとすら思った。なのでどんな手を使ってでも、白からその存在を奪ってやる、それだけが連の次なる生き甲斐となった。  そして事件を一つ起こしてみたわけだが、あんなのはただの小手調べでしかない。本当の勝負はこれからだ。  あの三代目ぬらりひょんを継いだ青年とて、次に自分と対峙した時には初めから全力で挑んでくるに違いない。  白の碧色の瞳と相対するような赤───銀朱色をした瞳の青年と再び相見えることを夢見て、連の野望は次の高みを目指し動き始めた。
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