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「死海は・・・確かヨーロッパ、だったかなぁ?」
「おぉ~!セレブセレブ!行こう行こうっ!」
途端に明るい顔で振り返る彼女。
「確かフィンランドの辺りだったかなぁ。北ヨーロッパだね。」
「おぉ~!北欧!セレブセレブ!」
「・・・。別にセレブじゃないと思うけど。」
「じゃあセレブじゃなくていいから、行こう!死海!ヨーロッパ!」
「いつか、お金が貯まったらね。」
「やったー!ヨーロッパだー!フランス!イタリア!エッフェル塔!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねてはしゃぐ彼女は急に年相応の顔つきに戻り、満面の笑顔を見せた。
「・・・死海は・・・?」
それが、まだ子供でありながら大人に憧れを抱いていた頃の従妹との、最後の会話と約束だった。
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