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公園を抜けた先の交差点で、彼女の両親が、彼女の荷物を持ってコチラを睨み付けていた。
「あ、叔父さん、叔母さん。」
「ヤバ…」
小さく叱責をもらした彼女は身を竦め、僕の後ろに隠れた。
「やばって、まさかお前、今回こっちに来る事言ってなかったのか!?」
「あ~ぁ~聞きたくない~何も聞こえない~!」
彼女は僕の背中に自分の背中を合わせて身を屈ませると、両手で耳を塞いで騒ぎたてた。
「お、おい!こら!最初の約束と違うだろう!おい!聞けよ!」
彼女に凄んでみても効果はない。両耳を塞ぎその場に座り込んだ彼女には何も聞こえない。頭も膝と腕の間に埋めてしまった。
「何も聞こえない何も見えない何もないの何もないの何もないのよう~・・・」
小さな声で繰り返す彼女。
いくら背伸びして着飾ってみせても、僕の従妹は十二才。特に甘やかされて育った彼女は子供の幼さが当たり前のように抜けずにいた。
喜ぶ時には笑顔で、反抗する時には生意気に、どうするコトも出来ない時には、現実から目を背け、何も聞かず何も見ない。
コレが彼女の子供らしさなのだ。
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