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きっとそうだろう。顔も性格もいい人なのだ。
国中の少女が憧れるくらいに見目麗しいのだ。そして人間性も素敵なのだ。
そうだ、結婚したら、黄金のドラゴン像を作ってもらおうか。それを庭に飾るのだ。
キラキラと輝く王子の笑顔。その横には、やはりキラキラと輝く金のドラゴン。
なんて素晴らしい光景なのだろう。
エリザベートは、まだ会ったことのない婚約者との未来の結婚生活について思いをはせた。
そのときエリザベートの脳裏に、朝のシャルロッテの占いが甦った。占いの大好きなシャルロッテ。今頃、お城で一人で占いをしているのだろうか。
『あなたはとても勇敢で強いハートの持ち主です。しかし、今、目の前に大きな壁が立ちはだかっています。新しきものとの出会いで、どんな困難でも乗り越えられます。出会いは関わりではなく、スタートです。冒険が始まると考えてください』
勇敢で強いとは、まさしく自分のことだ。そして盗まれた宝石が見つからない。当たっている。
しかし、宝石泥棒の手がかりがまったく出てこない。
では、犯人はどこから侵入して、どうやって首飾りを盗んだのだろうか。
分からない。分からないことだらけだ。
「やっぱり真犯人を捕まえないとねえ……」
「捕まえるって。どうやって?」
また声が大きくなってきたマルセルに、しっとエリザベートは唇に人差し指を当てた。
「マルセル、あなたはドラゴンに乗ってあちこちを飛び回る配送屋よ、しかもよそ者。あなたに疑いを向けられると思った人がいるんじゃない? 今から二人で考えましょう。そしたら怪しい人物が分かるかもしれないわ」
四 推理
エリザベートが一番気になったのは、ドラゴンのことだ。
「まず、ここのドラゴンはカッスルロッシュだけなのよね?」
「そう。俺に一番なついてるんだ。今年は品評会にも出そうと思って。光り輝くトロフィーを持ったカッスルロッシュの姿はきっと絵になるよ」
マルセルはうれしそうに言葉を続けた。
「長く鋭い牙、輝いている瞳、ウロコのキメ、均整の取れた体と翼……カッスルロッシュほど美しいドラゴンはそうそういないはず。それに……」
「ちょっと待って。ドラゴン自慢はもういいわ」
カッスルロッシュは確かに美しい。けれど延々と語られても困る。
それに、なんとなくエリザベートは面白くなかった。
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