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現在――あなたはとても勇敢で強いハートの持ち主です。しかし、今、目の前に大きな壁が立ちはだかっています。
けれど大丈夫です。心配することはありません。新しきものとの出会いで、どんな困難でも乗り越えられます。
障害――出会いは関わりではなく、スタートです。冒険が始まると考えてください。そして価値観の異なる他者には気をつけてください。あなたの疾走をさまたげる恐れがあります。
未来――超えがたい壁が現れます。強い向かい風に吹かれると着地点を見失います。そうなってしまうと、あなただけでなく、あなたの大切な人まで、命の灯が吹き消されてしまいます。
よく意味が分からなかった。
「嫌ですわ、なんだか不吉ですわね」
シャルロッテは不安そうな口調で言った。
「まあ、占いだもの。いいところだけ信じるわ」
エリザベートはやれやれと言った口調で返した。しかし内心嫌な感触が広がっていった。
命の灯が吹き消されるというのは、なんだか怖い予言だ。死ぬということだろうか。
「私の占いですもの、きっと外れますわ」
シャルロッテが微笑みながらそう言うと、少し空気がなごんだ。
朝、シャルロッテにそう言われたばかりだが、占いがさっそく当たった。
「新しきもの」とはドラゴンのことに違いない。
これで、どんな困難でも乗り越えられる気がする。
おじいさんを見送って、マルセルはこちらに向かって歩いてきた。
「ちょっと、ドラゴン。寝てるの?」
エリザベートは再度ドラゴンをつついた。ドラゴンはゆっくりと目を開けた。
「あ、起きた?」
ドラゴンはエリザベートを無視して、マルセルのほうに向かって甘えたような声で鳴いた。
さっきドラゴンに火を噴かれたことを思い出し、エリザベートは腹が立ってきた。
「なんなのよ、あんた、その態度は」
軽く蹴ったエリザベートに、ドラゴンは低く唸った。
「バカドラゴン!」
エリザベートの言葉に、ドラゴンは再度唸ると尻尾で地面をバシッと叩いた。受けて立つ気らしい。
「ねえ、マルセル」
エリザベートはすぐそこまで来ていたマルセルを呼んだ。
「このドラゴン、さっき火を噴いたわよ? 生意気よ」
「こらこら!」
マルセルが駆けてきた。
「カッスルロッシュ、人に火を噴いてはいけないよ」
そう言いながら、ドラゴンの首をさする。名前は、カッスルロッシュというらしい。
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