2172人が本棚に入れています
本棚に追加
直弘の言葉を聞いた真里奈は俯いたまま涙を流し、「はい」と応えた。
リナは涙こそ流していないものの、「ほんっとゴメンね」と両手を顔の前で合わせていた。
薄い笑みを浮かべながらそんな二人を見つめるさゆりと、何処かまだ納得できていない様子の桑原。
「あの人も……許すの?」
桑原が小林を指さして問い掛ける。
直弘は眉間に皺を寄せながら俯き、「許すしかないだろうね。あの人が居ないと魚を釣る事は出来ないんだし」と応えた。
その瞬間、真里奈が虚ろな表情で口を開く。
「最悪、殺せばいいと思います。あの人を殺して竿を奪えば、皆で平等に魚を分ける事が出来ますから」
平然とした顔でそう告げる真里奈は、直弘の表情を変えた。
「真里奈さん……それ、本気で言ってる?」
最初のコメントを投稿しよう!