第二章 厄島

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桑原は寝ころんだままその二人を恨めしそうに見つめるが、直弘とさゆりは話を聞く体勢になって二人に顔を向ける。 「ごめんなさい……私……誘惑に負けて」 「リナもぉ……」 真里奈が口を開くのに合わせてリナも頭を下げた。 直弘は無言でその二人を見つめ、「もう終わった事です。それに、ライターをお借りでき無かったら、俺たちも食べられなかった」と口にしてから言葉を続ける。 「欲を抑えるのは難しい。俺も今は抑えられているけど、一週間後はわからない。自分が助かる為だけに、何かを、誰かを犠牲にしようとするかもしれない。でも、全員がそんな行動をしたら、誰一人この島からは出られない。まだ始まって五時間しか経ってないんです。過去の罪を詫びる時間は要らない。俺達が、二週間後の未来で生き残る為の話をしましょう」
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