第二章 厄島

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「本気です。あんなに乱暴でルールを守れない人間、死んだ方がマシじゃないですか。私は、息子の所に絶対帰らないといけないんです。その為なら、どんなことだってする……」 真剣な瞳でそう告げる真里奈に、直弘はそれ以上何も言えなかった。 「ぼ、僕達が殺さないといけないのは……厄鬼(やっき)だよね。仲間内で……こんなこと言っている以上、僕達はこの厄島から出られない……と思う」 寝ころんでいた桑原はその言葉を最後に起き上り、手に持っているロープをギュッと握る。 「ぼ、僕も変わらないといけないんだ。ここでしっかり生き抜いて、オタクだキモイだ言っていた奴らを見返してやる」 赤かった空はいつの間にか闇に染まっていた。それに合わせるかのように、森に入っていた石山が直弘達の下へ戻って来る。
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