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「はぁ……はぁ……はぁ……」
息を切らしている石山。直弘がどうしたのかと問い掛けようとした時、石山は両手を地面について呼吸を整えてから喋り始めた。
「すまない! もしかしたら……厄鬼に見つかったかもしれない」
その石山の言葉を聞いた直弘は顔色を変えてどういうことか訊ねる。
「何か食べられるモノが無いかと森に入ってしばらく歩いたけど何も見つからなかった。日が陰って来てそろそろ戻ろうと思った時、背後で草木を掻き分けるような音がしたんだ……。必死になって逃げたんだけど、草木を掻き分ける音はずっと追いかけてきて……」
「だとしたら、厄鬼も此処に辿り着くんじゃ……」
石山が飛び出してきた森に視線を向けながら直弘が呟くと、石山は無言で首を左右に振って否定した。
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