第八章 窮厄

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石斧は想像していたよりもずっと軽かった。 心の中でそう呟いた進藤は細い腕で石斧を持ち、星が無数に散らばる夜空を見上げた。 時折足を止めては耳を澄まし、草木を掻きわける音や足音が聞こえてこないか確認する。 神経を耳に集中させるが、何も聞こえてこない。聞き飽きた同じ虫の声が聞こえてくるだけだ。 進藤は石斧に視線を落とし、直弘達と決別した日の事を思い出していた。 ――「私達はもう、数時間前みたいに仲良く森を歩けない。正直、あなた達に近づくことすら怖い……。結局、私達は信頼関係なんて築きあげられる関係じゃなかった。それが今ハッキリした。こんなことなら、いくら厄鬼に森で追われたからと言って、あなた達の所へ逃げ帰って来るんじゃなかった……」
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