最終章 本厄

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 既に意識を取り戻しているらしく、縄を解けと狂ったように叫んでいる。 「ミミコ、遅いぞ!僕が死ぬかもしれない時点で助けに来る約束だっただろうが!」  血走った目で睨みながら石山は叫ぶが、ミミコは動揺することなく笑顔で反応する。 「そんな約束しましたっけ?でも、五体満足で生きてるからよかったじゃん」 「ふざけるな!とりあえずこの縄を解け。視聴者はまだこのゲームを観てるんだろう?速水直弘の首を切り落とすシーンを全世界に届けてやる」  首筋に血管を浮きだたせながら身体を捻る石山。黒服の一人はその身体を片手で押さえ、地面に叩きつけた。 「ぐっ……お前、僕が誰だか分かってるのか?このゲームの主催者だぞ?お前なんて僕の一声で、首が飛ぶ。そのことを分かっていてやっているのか?」  唸るような声で叫ぶ石山だが、黒服は表情一つ変えずに石山を押さえ続ける。
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