最終章 本厄

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「あなたを生きて返すと、色々とややこしいことになりそうだね。石山さんは知らないかもしれないけど、生存者殺傷の権利はナビゲーターにもあるんだよ?」 「ぼ、僕を殺したらメディア……いや、政界が動くぞ!」 「残念だけど、その政界のトップも、厄払いの視聴者なんだよね」  その言葉を最後に、ミミコは引鉄を引いた。  先ほどまで喋っていた石山の顎はバラバラに散らばり、ピンク色の脳漿も石畳の上にボタボタと落ちた。  ミミコは頬に飛んできた脳の一部を指で弾き飛ばすと、黒服に拳銃を戻す。 「これで、第五十三回目の厄払い生存者は速水直弘さん、あなた一人になりましたぁ。パチパチパチパチィ」  満面の笑みで拍手をしながらそう言ったミミコは、石山を先ほどまで押さえつけていた黒服に直弘を立ち上がらせるよう命じる。
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