最終章 本厄

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「島田君、彼に銃口を向けながら一緒に行動してくれる?速水さんに十分だけ時間をあげることにした。でも、十分経ったら気絶させてでも連れていくからねー」  ミミコはそう言って、再びキャリーケースの上にドカッと座った。  直弘は銃口が突きつけられている事も気にせず、坂を勢いよく上り、森に入った。そして、大声でさゆりの名前を叫ぶ。何度も、何度も。  しかし、その声に応えるモノは何もなく、聞きなれた鳥の声と木々の騒めきが返って来るだけだった。 「五分経過したからねー」  崖の下からミミコが声を張る。厄払いの間は時間の経過が恐ろしく遅いと思っていたのに、今はとてつもなく早く感じる。
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