リアル「なろう系ハーレム」な世界

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「やった!採用だ!」 電話を切った俺は、自分の部屋で、誰も見ていないのにもかかわらずガッツポーズを取る。 これでようやく再就職のメドがついた……雇用保険が切れる前で助かった…… ――― 二ヶ月前、俺は新卒で入社以来三年勤めた会社を辞めた。よくある中小ITソリューションベンダー。学生時代から自宅サーバを立てて運用していた経験を買われ、俺は開発だけじゃなくインフラ回りの仕事まで任される羽目になり、超激務に見舞われた。果てしなく続くデスマーチとプルリクの嵐。コミット、プッシュ、レビュー、テスト、マージ……まさに社畜以外の何物でも無かった。てなわけで、見事に胃潰瘍になりかけ、ぶっ倒れた俺は退職を余儀なくされたのだ。 そして、俺は自宅療養しつつ、次の仕事を探していた。そんなとき、俺の叔父さんが、思いもかけないところから仕事のクチを持ってきた。 野村こども園。読んで字のごとく、子供を預かる施設である。俺が昨日面接に行ってきたのはそこだった。俺の家から自転車で十分通える距離だ。     
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