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舌足らずのアニメ声で言いながら、立川先生が振り返る。俺を下の名前で呼ぶのは彼女だけではない。ここにはもう一人「斉藤」という先生がいて、その人がデフォの「サイトウ」なので、区別をつけるために俺は全員から「ヨシユキ」と呼ばれることになっていた。
「ちょっと、場所代わってもらっていいですか?」
「は、はい……?」
彼女の席に移るやいなや、俺は計算式をセルに打ち込み、さらにオートフィルで一気にそれをコピーする。彼女が十数分かけて半分も出来ていなかった作業は、三十秒で全て完了した。
「はい、出来ました」
「!」俺の後ろから画面を見ていた立川先生の目が丸くなる。
「……すっごぉぉぉい!」
脳天に突き刺さるような彼女のアニメ声が職員室内に炸裂し、その場にいた全員の視線が俺たちに集中する。
「まるで魔法みたいですぅ!どうやったんですかぁ?あたしにも教えてもらえますかぁ?」
立川先生の目がハートマークになっているように見えた。
……やばい。
俺、なんかフラグ立てちまったかも……
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