プロローグ

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「……梓川公太です。よろしく」 黒板に書かれた文字の横、ペコリと頭を下げて挨拶を切り上げる。 突然の新参者は固まりつつあるクラスの空気を切り崩す異物でしかない。 この時期の天候は違和感と不快感を面喰い、俺の新たな学生生活を陰らせる。 「じゃあ、梓川君は久世さんの隣の席に座ってね」 どこかの席が偶然空いているということもなく、俺が座る席は朝のうちに教師が設置したらしい。 窓際の一番後ろ、特等席だ。 俺に付きまとう不愉快な視線を避けるように移動し、窓から体操服の群がったグラウンドを眺めた。
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