妖灯戯

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階段を下りきると、足に触れたのは板の間だった お香の香りと煙が充満してるよう でも煙くはない まるで靄のように湿気をふくんで温かーい どこからか鈴の音がシャンシャンと連続してこだましてくる 周囲はよくわからないけど、広い洞窟になってるようで、上のほうにほんの僅かな灯りが灯されている パシッ パシッ さらに奥のぽっかり空いた暗がりに、白っぽいものが横たわっていた パシッ パシッ 音は微かな鈴の音よりも近く、大きく、 白っぽいものがある辺りから聞こえてくる 浅葱が暗がりに向かって行き、何か唱えながら 入り口から取ってきた大きな徳利を口に含んで 白いものと重なった 浅葱は何度かそれを繰り返してる さらに目が慣れて良く見ると、パシッパシッと 何かを打ちつけるような音は白い尾だとわかった あの沢に下るときに出会ったきつね、、、 弧白の尻尾だ あ、い、つーっ! 僕をさんざん脅かして、大事な尻に変ないたずら書きして、僕の浅葱とちゅーまでしてる その弧白が奥の暗がりにいるのだ なんだか腹が立ってきた でかい尻尾があるからって、得意気に見せびらかして そりゃー暗がりだって、凄く綺麗だけど、、、 それが、どうしたっていうんだ 浅葱はまた、手にしていた徳利を口に含んでる 僕はその腕を取って、背伸びして唇をつけ、浅葱が口に含んだ御神雨を吸い取った パシッッ! 一際大きく弧白の尻尾が床に打ちつけられた ふん 浅葱は僕が好きって言ってくれたんだから 今はもう、僕の浅葱だ 「んんんーっ」 わざとしつこく唇を合わせた ほら、浅葱だって拒否しないし
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