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ルビーは隙を見て、腿のホルスターの銃を抜いて、ガウナの左胸に銃を突きつけた。
ガウナは呆気にとられ、舌打ちした。
「手を離して。あなたと争って次郎の体を傷つけたくないの。」
ガウナは不貞腐れたように手を離した。
「人間のメスは相当おっかないみたいだな。覚えとくぜ。」
ルビーは銃を納めて、ほっとした表情を浮かべた。
ガウナはベットに座り少し考え、やがて口を開く。
「よしこうしよう。あんたは『ジロウ』を拒まないよな?
だったらここに俺を住まわせろ。
新しい住処のアテもないし、野宿して他のハーミットに襲われるのも嫌だしな。」
ルビーは不審そうに首を傾げた。
「別に、良いわよ。
私もあなたが次郎の体で何かしでかさないか心配だからその方が良いわ。」
「そんで、あんたが『クリアブルー』相手に泣きわめくのを見届けてやることにする。」
「それで?」
「それを十分楽しんだら、そいつらを思いっきりボコボコにする。」
「え…。それって。」
「あくまで、この世界を満喫するためにそうするだけだ。」
「…。
ありがとう。けど無茶はしないでガウナ。」
「しないよ。俺にとって一番大事なのは俺だからな。
それに、ただじゃ助けないからな。」
*
「隙を見て彼女を俺に従わせてる予定だったのに。
今じゃ、どうやっても完全に頭が上がんないんだもんな。
戦いの報酬はこうやって払ってくれるけど、完全に俺を受け入れてはいない。」
ガウナはため息をついて、ルビーと同じ寝床に入った。
「ルビーさん、まだ起きてる?」
ルビーは目を開けたが何も言わなかった。
「もう、痛い風にはしないからさ、手、回してもいい?」
返事はない。
ガウナはルビーの背中にくっつき、そっと両腕で体を包んだ。
次郎のことを思い出しているのか、ガウナを叱られた子供のように思ったのかは分からない。ガウナには見えないが、ルビーの表情は優しかった。
「おやすみ。」
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