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「なんだよ?」
女性が何に気づいたのか剣淵もわからないらしく、眉根を寄せてむすっとしたまま聞く。
「別に。それよりもさ、カナトは今年の夏も恒例行事やるの? 例の、UFO探し」
「お、おい! いまその話をしなくても――」
「あら。毎年、夏に探してたでしょ。変な宇宙人だのUFOだの気持ち悪いやつを調べて、探し回って。確か、女の子がキャトルミューされたんだっけ?」
けたけた、と転がるように女性が笑っている。いまこの会話をされたくないらしい剣淵が赤くなったり青くなったりと動揺しているのを楽しんでいるようだ。
「ちげーよ、キャトルミューティレーション! あとそれ意味違う、誘拐されんのはアブダクションだ」
オカルトオタクとしてのスイッチが入ったのか、テーブルを力強く叩いて語気荒く剣淵が返す。だが女性はその反応に動じず、やはり笑うばかりだった。
「これを毎年探してるなんて、ほんと、男って何歳になっても子供ねぇ。カナトったら、小学校の卒業文集に『将来の夢は宇宙人とコンタクトをする』なんて書いてたもんねぇ」
「くだらねー話しにきたんなら、帰れ! 用件は済んだだろ!」
「やだー、こわーい」
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