僕の幼馴染みが玄関から入ってこない

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 いきなりで悪いが僕には幼馴染みと言うやつがいる。隣の家に住んでてて、美人で文武両道な廉価の恋愛漫画や三流ラブコメ小説から出てきたような幼馴染みだ。  それはとても魅力的に思えるかもしれない。だが困ったことが幾つかある。  美人で、優秀で、ラブコメから出てきたような幼馴染みに困ったことなんてあるはずないと思ったかい?   それがあるんだよ……。しかも飛びっ切りたちの悪い『困ったこと』がね……。 「さっきから鯉みたいな顔してどうかしたのかしら?」  いつの間にか僕のベットに当然のように寝ているこいつが僕の幼馴染みだ。  同じ十六歳で僕の通う間中高校一の天才、そして色々と並外れた美少女だ。 「どうやって部屋に入ったのかな……?窓からも入れないはずなんだけど……?」  このように彼女はいきなり部屋に現れる、どこから入ってるのかは不明だ。二階だろうとトイレだろうと鍵のかかった風呂だろうと現れる。僕は最近もしかしたら彼女が吸血鬼かスレンダーマンのような怪物の一種なのではないかと疑っている。  なれたとは言え、頭が痛くなる彼女の行動に辟易しながら後ろに目をやると彼女の姿が見える。  白いベットに広がる絹のような黒髪に黄色人種とは思えないシミ一つない白い肌、そしてその大きなルビーのような瞳が僕に向けられていた。スラリとした四肢や完璧なプロポーションを見ると人形にも見える。 「しかも鯉みたいな顔ってなんだよ……そしてその位置からどうやって僕の顔を見たんだよ……」 「私はあなたの顔をどんな角度からでも見えるのよ」  魚眼レンズかな?  「鯉のような間抜け面と口をポカーンと開けてる様を的確に表してると思わない?」 「そこまで間抜け面じゃないよ!?しかも僕は口開けてないんだけど!?」 「因み鯉と恋を掛けたわけではないわ」  人を罵倒しながら部屋を漁りだした。なにもないからやめなさい。特に勝手に僕の鞄を漁らないで欲しいんだが……。 「ところでなんで恋が出てきたんだ……」 「もちろんあなたのことが好きだからよ☆」  キラッ! じゃーよ。その台詞は僕の許可なく部屋に入ったあげく、僕のベッドで僕の鞄を勝手に漁りながら言うことじゃねーよ。  彼女はよくこうして僕をからかう。イケメン集団として有名なサッカー部のやつらにでも愛想を分けてやればいいものを……。
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