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全然気まずくなる必要なかった。悪女が男の純情をもてあそんだだけだった。……いつもじゃね?
「ほら、ついたよ早く取って来てくれ……」
たった百メートルにも満たない距離がフルマラソンよりも疲れた気がする……。だが、彼女が前と全く変わっていないのが知れて良かった。
「あなたも入るのよ」
「なんで僕をいれる必要が」
「僕を挿入るなんて……ハレンチね」
なに言ってるんだこのアマ、おもいっきりひっぱたきたい。僕をどこまで変態にしたいんだ。
「大声あげるわよ」
「あの犬小屋にでもどこにでも入らさせていただきます」
「最初から従えばいいのよ」
脅したくせになんで偉そうなんだこいつ。
ドヤ顔の彼女を連れて無駄に大きい門を開けて洋館へ入る。この辺りでも一番大きな屋敷だけあり、玄関からして立派だ。
そのままリビングへ通され、席につかされた。流れるような動作だった。動作っていうかむしろ僕の意思なかったんじゃないかな、気が付いたら座ってた気が……。
「で、食事ってのは」
「ないわ」
ふざけんな。タイムセールが終わってるんだよ。
「僕を呼ぶ必要ないじゃないか」
「こうでもしないと、あなた私の家に来ないじゃない」
そんなこと…あるな、大いにある。彼女の家でまともなことになったことがない、僕は絶対に行かないだろう。と言うか見えてる地雷に突っ込む意味がわからない。
「わかった、なら作ってくれるんだろ? 待ってるよ」
「いい子ね、待て」
「僕は犬じゃないし君に飼われてる覚えもない」
「え? 犬小屋に入るっていうからてっきり」
なんで犬認定なんだ……。
僕と喋りながら料理を始める彼女。いやまてなんだその紫色の液体。かなり毒々しい色してるぞ。
「おいまてなんだその毒液みたいなの」
「? みたいなのではないわ」
殺す気まんまんじゃねーか。なんでそんなに殺意高いんだ。
「こんなとこにいられるか! 僕は帰らせてもらう!」
「野菜ジュースと言う名の恐ろしい液体よ」
野菜ジュースは毒じゃねーよ。恐ろしくもねーよ。
「一日分の野菜がこれだけで摂れると勘違いした者たちが数多く犠牲になったわ……」
生活習慣病患者だよそれは、怖いのは野菜ジュースじゃなくてブラック企業とか不摂生だよ。
「ビビらせないでくれないかな?僕を殺したいの?」
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