四章

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迷ったが、愛莉はそのまま、押入れのふすまをしめて、トイレのほうへ行った。二階にまであがる時間はないと思ったからだ。 カギを持っていってもよかったのだが、そうすると、万一、祖母が離れに行こうと思ったときに、カギがなくなっていることに気づいてしまう。 ガラガラと玄関の戸があいた。 愛莉はトイレから出て、玄関にまわった。 「おかえり。おばあちゃん。朝早くから、どうしたの?」 「あれ? 起きてたの? 愛ちゃん。お守りの材料、とってきたよ。ちょうどいいのがあったから、作っておくね」 「あっ、そうか。ありがとう」 「朝ご飯は?」 「もう一回、寝るからいいよ」 「そう」 愛莉は平静をよそおって、二階へあがった。 あとちょっとだったのだが、しかたない。祖母に怪しまれるよりは、またの機会をうかがったほうがいい。 二階にあがると七時になっていた。 雅人はもう起きただろうか? 昨日も、はぐれてしまった。 気になって電話をかけたが、つながらなかった。 まだ寝ているのかもしれないと思い、すぐに切った。 それで思いだしたが、雅人の知りあいの刑事から、名刺を受けとっていたのだった。あとで電話をくださいと言われていた。 昨日、あの林にいたというのとは、夜通し捜査を続けていたかもしれない。電話をかけると迷惑かなと愛莉は考えた。が、いちおう、かけてみることにする。     
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