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「すいません。じつは、わたしたち、最近、再会したばっかりで、以前のことは、よく知らないんです。二年前に、雅人くんが何か事件を起こしたんですか?」
しばらく沈黙があった。
「……君は、雅人の友達なんだろ? まさか、知らないのか?」
「えっ? 何をですか?」
「雅人は行方不明なんだ」
やっぱり、そうだ。二年前、雅人は行方をくらましていたことがあるらしい。もしかしたら、今回の行方不明事件に関連があると、圭介は考えているのかもしれない。
「すみません。わたし、ほんとに知らなくて。今度、会ったら、聞いてみましょうか?」
「えッ?」
ビックリするような大声を出されて、愛莉はスマホを耳から離した。
「今度、会う? いつ?」
「約束はしてませんけど、今日も会いたいなとは思っていますけど」
「今日? ほんとに?」
なんだって、こんなに念を押すのだろうか。
「ウソなんてつきませんよ。会ったら何を聞けばいいんですか?」
「いや、おれはただ、あいつが心配だっただけだから、元気にしてるんならいいんだ。じゃあ、あとで、おれに電話をかけるように伝えてほしい」
「わかりました」
なんだか変な刑事だ。刑事というより、友人として雅人を探していたわけか。
それなら、昨日、なぜ雅人ではなく、愛莉を呼びとめたのか、ますます、わからない。
電話を切ると、愛莉はワンピースに着替えた。
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