四章

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すうくんーーその呼びかたに、なぜか記憶が刺激された。どこかで聞いたことがある。 「すうくんって、昨日の茶髪の人だよね? 高級車に乗ってた」 「リムジンね! スゴイでしょ? すうくん、二年前に起業して、大当たりしたの」 杏の目はキラキラ輝いている。お金持ちのイケメンをつかまえて、自慢そうだ。愛莉は話をあわせて、褒めておいた。 「そうなんだ。スゴイね」 あの男。顔も見たことがあるような気がした。 もしかしたら、子どものころに会ったことがあるのかもしれない。 「杏ちゃんも待ちあわせなの?」 「すうくんの家、この近くなんだ」 「ああ。それで」 話しているところへ、通りの前方から、滝川圭介が歩いてくる。もう一人のスーツの男も、先日、圭介を呼んでいた男だ。仕事仲間なのだろう。 「やあ、おはよう。今から、雅人に会うの?」 「おはようございます。そうです。滝川さんはお仕事ですか?」 「そうだよ。近隣の聞きこみ中。じゃあ、よろしく伝えてください」 「はい」 言うだけ言って、圭介は去っていった。 大事件が起こって、刑事の圭介は大変そうだ。 愛莉たちの会話をだまって聞いていた杏が首をかしげている。 「さっきの人、雅人くんじゃなかったの?」 「えっ? あれは雅人の知りあいの滝川さんだよ?」     
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