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つかのま、圭介は思案した。
「その事件、私は担当じゃありませんが、話は聞いています。では、行方不明の平野俊一さんは、あなたのお父さんですね?」
愛莉はうなずいた。
すると、圭介は妙なことをつぶやいた。
「……あの事件は、未解決になるかもしれませんね」
「えっ? なぜですか?」
「あっ、いえ……刑事の勘です」
いや、違う。
圭介は知っているのだと、愛莉は直感した。
愛莉の父、俊一が、すでに、この世の人でないことを。
なぜ、それを知っているのか?
まさか、祖父を殺し、その罪を父がかぶるように工作したのは、滝川圭介なのだろうか?
愛莉は誰も信じられない気分におちいった。
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