五章

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つかのま、圭介は思案した。 「その事件、私は担当じゃありませんが、話は聞いています。では、行方不明の平野俊一さんは、あなたのお父さんですね?」 愛莉はうなずいた。 すると、圭介は妙なことをつぶやいた。 「……あの事件は、未解決になるかもしれませんね」 「えっ? なぜですか?」 「あっ、いえ……刑事の勘です」 いや、違う。 圭介は知っているのだと、愛莉は直感した。 愛莉の父、俊一が、すでに、この世の人でないことを。 なぜ、それを知っているのか? まさか、祖父を殺し、その罪を父がかぶるように工作したのは、滝川圭介なのだろうか? 愛莉は誰も信じられない気分におちいった。
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