五章

10/12
前へ
/122ページ
次へ
* 雅人を探したが、見つからないので、祖母の家に帰った。家のなかが静かだ。 「ただいま。おばあちゃん? いないの?」 玄関で声をかけるが返事がない。見れば、祖母のつっかけがなかった。近所に出かけているようだ。あるいは、奥の離れか? 急いで離れに行ってみるが、カギがかかっていた。 (おばあちゃん、出てるんだ。もしかして、今なら、このなかをたしかめられるんじゃないの?) ドキドキしながら、祖母の部屋に侵入し、押入れをあける。以前、見つけていた隠し場所から、怪しいカギをとりだした。 そのまま、離れに走っていき、愛莉はカギをあけた。 父は死んでいるのに。 このなかにいるのは、じゃあ、誰なの? 父と祖父を殺した人? でも、それは滝川刑事じゃないの? もう、わけがわからない。 確実なのは、このなかを見ること。 それ以上、明確な答えはない。 カギ穴にカギをさしこんだ。 カチャリと小さな音をたてて、カギはまわった。 心臓の鼓動がうるさいほど速くなる。 愛莉は思いきって、ドアをあけた。 「誰か、いるの?」 返事はない。 しかし、何者かが息を飲むような気配があった。 愛莉は急いで、ドアよこの電球のスイッチを押した。     
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加