五章

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黄色っぽい、くすんだ照明が乱雑な物置の内部をてらした。 その人は、真正面に立っていた。 身をかくす場所を探していたようだが、明かりがついた瞬間に、ため息をついた。 愛莉は、めまいをおぼえた。 そこにいるのが誰なのか、わかりさえすれば、何もかも合点がいくと思っていた。事件の真相が、ひとめでわかるだろうと。 でも、これは、いったい、ナニ? 真相が、さらに遠くなる。真相どころか、常識が、どこか、つかみどころのない、あやふやな世界に溶けていく。 「なん……で? なんなの? コレ? なんで、ここに……」 愛莉は泣きたいような笑いたいような、変な気持ちにおそわれながら、その人に問いかけた。 「なんで、おじいちゃんが、ここにいるの?」 そんなバカなことがあるはずはない。 だって、愛莉は祖父の葬式に出たし、ちゃんと棺おけのなかの遺体も見た。 胸を刺されて死んでいたわりに、祖父はとても安らかな顔で亡くなっていた。 それなのに、なぜ今、目の前に生きた祖父が立っているのか? しかも、そこにいるのは晩年の祖父じゃない。 愛莉が、まだ幼かったころの祖父だ。年齢的に言えば、五十代の祖父。 祖父であることだけは、まちがいない。 でも、祖父はもう八十になっていたはず……。     
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