五章

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「何コレ? わけわかんないよ。なんで、おじいちゃんが若くなってるの? 死んだんじゃなかったの? お父さんは? 死んだのは、お父さんだったの?」 すると、玄関の方で音がした。 「愛莉、帰ってるの?」 祖母の声が近づいてくる。 しばらくして、祖母は離れにやってきた。 「愛莉。おまえ、見てしまったんだね」 「おばあちゃんが、ここに誰かをかくまってるのは知ってたよ。でも、わたしには言っといてくれても、よかったんじゃない? わたし、もう子どもじゃないよ」 祖母がすまなさそうな顔で言った言葉を聞いて、愛莉はさらに混乱する。 「ごめんよ。でも、お父さんは警察に追われてるから、なるべく秘密にしておきたかったんだよ」 「えっ……?」 祖母は何を言っているのだろうか? ここにいるのは祖父だ。父ではない。 まさか、祖母は、祖父のことを父だと思って、人目から隠していたのか? だまりこんだ愛莉を見て、祖父がいたわるように声をかけてきた。 「すまなかったね。愛莉。もう、おまえにも、ほんとのことを話していい年だ。おまえなら、わかってくれるだろう」 そう言って、祖父は語りだした。
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