六章

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今後、この村に生まれた者が誰かの手により殺められたときには、わたしが力を貸そう。殺めた者の体のなかに、その魂魄は蘇るだろうと……空蝉姫は、そう言ったのだそうだ。 姫さまは、この世の不条理によって死なねばならなかった自身と、同じ死にかたをした者を救いたかったのだろう」 愛莉は祖父の顔を見つめた。 今ここにいる祖父の存在じたいが、その伝説が真実であることを雄弁に語っている。 「あの神社、昔は生贄を求めたって話だけど……」 「それは、まちがって伝わった伝説だろうなあ。このあたりが村でなくなったあとは、この伝説をくわしく知る者が、年々へっていく一方だからな」 家が途絶えてしまったり、口伝がきちんと伝わらなかったりして、正しいことを知る人がへっていく。時代の流れから言って、しかたないことだろう。 あのネットの書きこみは、そうした中途半端な知識の持ちぬしによるものだとわかった。 「でも、神社で生贄に代わる儀式があったって」 「移し身の技には儀式は必要ない。ただし、条件はある」 「どんな条件?」 「一つは、蘇る者が、ここが村だったころの土地に生まれたこと。その者が人の手で殺されたということ。それと、大事なのは、死体が空蝉を持っているということだ。場所は神社の近くの神木の周辺。あのまわりに死体を埋める必要がある」 思わず、愛莉は「あッ」と声をあげた。     
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