六章

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「だから、あのまわりで、たくさん死体が見つかったのね!」 「そうだろうなあ。じいちゃんもな。あの林に埋められたんだよ。だが、思っていたより早く見つかってしまった。昔なら、誰も警察なんか呼ばなかっただろうが、今は伝説を知らない、よそから来た人も増えてしまったからなぁ。通報されてしまったんだろう」 「おじいちゃんを殺したのは……誰なの?」 その答えは、もうわかっている気がする。 父は助からない病だった。 自分の寿命があと少ししかないと知っていたのなら……。 祖父は物悲しげな目で、うなずいた。 「俊一だよ。移し身が成功すると、被害者は、それを殺した者の年齢で蘇るんだ。つまり、じいちゃんは、じいちゃんを殺した俊一の年まで若返ることができた。それだけ、寿命が延びた。俊一はな。自分の代わりに、じいちゃんに愛莉を見守っていてほしかったんだよ」
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