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祖母の作ってくれた肉じゃがを食べながら、見るともなく見ていた。
アナウンサーは最後のしめくくりとして、こんなことを言った。
「この十九さいの学生は先日、今の両親と養子縁組みしたばかりで、念願の国立大学へ通っていました。このような悲しい犠牲がいつまで続くのでしょうか。早急な原因究明が望まれます」
養子になって大学進学ーーということは、おそらくお金持ちにひきとられたのだろう。学力の高さを買われたのかもしれない。
人生が好転しかけたところで病気で死んでしまうなんて、なんて不幸だろうか。
「ごちそうさま。わたし、お風呂入るね」
「はいはい」
自分の使った食器を台所まで運び、水につけておく。
そのあと、着替えをとりに、愛莉は二階へむかった。
階段を数段あがったとき、違和感を感じた。
階段は上部がゆるいカーブになっていて、ぜんたいを見渡しにくい。カーブのさきから、何か液体のようなものが流れてくる。
(えっ? 雨もり?)
二階には水まわりがない。トイレも浴室もキッチンも、全部一階に集中している。雨もりでもなければ、大量の水が流れてくるような場所はないのだ。
でも、ここ数日、ずっと雨は降っていなかった。
黒っぽい液体は、ゆっくりとした速度で、段々畑の散水のように階段を伝わり落ちてくる。
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