65人が本棚に入れています
本棚に追加
黒? いや、赤い。黒ずんだ赤い……血。
愛莉はさらに上の段を見あげた。
そこに女の足もとが見えた。
異様に白い肌には、血の気が感じられない。
足もとから上へ、上へ、視線をあげていく。
はやりの服には見おぼえがある。つい最近、どこかで見た。
直立不動の女の足。スカートをはいた腰。ゆるいシルエットのブラウス。深くひらいた胸もと。細い首。
その首すじにあるホクロを見て、愛莉はドキッとした。
このホクロ、もしかして……。
あわてて首の上をたしかめる。
愛莉は悲鳴をあげた。だが、それは怖かったからじゃない。
(杏ちゃん!)
今朝も会ったばかりの杏の霊が、口から大量の血を吐いて、そこに立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!