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杏が死んだ?
いったい、どうして?
今朝、会ったときは元気そうだった。病気ではないはずだ。だとしたら、事故か、事件。
「おばあちゃん。ちょっと、わたし、笹野さんの家まで行ってくるよ」
「え? どうしたの? 急に」
「うん。ちょっと、杏ちゃんに会いたくて」
「そう? 気をつけてね」
祖母に見送られ、愛莉は外へかけだした。
杏が事故に会ったのなら、すでに家族には連絡がいっているはずだ。
ただし、事件だとしたら、まだ誰も、その死に気づいていないかもしれない。
きっと、杏は自分が死んだことを、愛莉に知らせに来たのだ。
そう考え、子どものころに遊びに行ったことのある、杏の家まで走っていった。
笹野家は外から見た感じ、異変はない。
ごくふつうに明かりもついているし、親戚などが集まっている気配もない。
杏が事故でたったいま息をひきとったのだとしたら、家族は病院に行っているだろう。つまり、少なくとも事故死ではなさそうだ。
愛莉は思いきって、笹野家の呼び鈴をならした。
すぐにインターフォンがつながった。
「はーい。どなたですか?」
杏の妹だろうか?
若い女の声がたずねてきた。
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