六章

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家のなかから、愛莉も見おぼえのある杏の母が顔をだし、声をかけてくる。愛莉が子どものころに見た顔より、だいぶ老けているが、杏の母だということはわかった。人間はけっこう、何年たっても面影を見きわめられるものだ。 だから、まちがえるはずがない。 これは、杏じゃない。 「さあ。人違いみたい」 そう言って、杏ではない杏は家のなかへ入っていった。
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