七章

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あとでまた、かけよう。 そう考え、愛莉は駅前の喫茶店へむかった。 捜査で忙しいのだろう。 愛莉が店に到着したときには、まだ圭介は来ていなかった。約束から十分ほど遅れてやってくる。 「すみません。今朝も明け方まで捜査していたので」 「起こしてしまったんですね。こちらこそ、すいません」 「いえ。どうせ、もう起きる時間でした」 圭介はコーヒーをたのんだあと、すぐに本題を切りだした。 「それで、お話とは、なんですか?」 愛莉も単刀直入に話す。 「滝川さんは以前、蝉じいさんと呼ばれていたそうですね。昨日、祖父から移し身について、すべて聞きました」 圭介はチラリとまわりのテーブルを見たが、平日の中途半端な時間だ。抑えた声が聞こえる範囲に、ほかの客はいない。 圭介はそれでも必要最小限まで声をひそめる。 「そうですか。じゃあ、あなたのおじいさんを殺害したのは、やはり……」 「……ということですね。滝川さんは、わかっていたんですね? 移し身だということに」 「ええ。ですが、殺人事件は県警の管轄になってしまうので、私では、どうすることもできなくて」 「その移し身なんですが、じつは……」 愛莉は昨夜の杏の件を説明した。     
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