2 理人

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その癒し効果は写真でも絶大なのか、手にスマホを握りしめたまま俺はいつの間にか寝落ちてしまっていたらしい。 目が覚めたら母さんから新しいメッセージが来てるし。 「帰りにオムツ買ってきてもらえない?」 出た……得意のパシり。 と一度はうんざりしたものの、続きのメッセージで睡魔が一気に飛んでいった。 「今使ってるの合わないのかなぁ、ちょっとお尻赤くって」 そういえば一度ひどいオムツかぶれでお尻が真っ赤になったことがあった。 痛いのか痒いのかどちらともなのか、あの時はグズってすごく可哀想だった。 弟のピンチに早く駆けつけてやらないと。 兄ちゃんが今、ちゃんとしたオムツ買って帰るから待っとけよ。 ホームルームはちょうど終わったようだったから、俺は慌てて教室を飛び出した。 でも焦るとろくなことがない。 競輪選手並みに飛ばしていた自転車に急ブレーキをかけた。財布……教室に忘れてんじゃん! 店はすぐそこなのにと、絶望感たっぷりで引き返している途中で、まさか更なる悲劇に見舞われるなんて。
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