1 つぼみ

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「ダビニフスって、こんなの古典で習った?」 心臓が、どくんと跳ねた。 胸の内ポッケに隠し持っていたいけないモノがみつかってしまった気がして。 「意味知ってる?」 「えっと、なんとなく……だけど」 「これ、ちゃんと漢字があるんだよ。書けないけど」 15歳にはすこし早すぎる言葉じゃないかなって思っていたから、すこし驚いた。 「俺を産んだ母親がもうだいぶ前にダビニフサれちゃったらしくて。だから知ってんだけどね」 さらに驚いた。 彼は小説や映画じゃなく、実体験としてその言葉を自分のものにしていた。
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