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明るくて無邪気なこころは、きっとお母さんのお腹のなかで千絵梨がひとつ残らず吸収してしまったんだ。
彼女はインウツでインケンでサツバツとしたものだけをお母さんの胎内に残して生まれて、その残りものを仕方なく抱えて生まれてきたのが、きっとわたしなんだ。
でも、そんなこともうどうでもいい。
何もかもがバカバカしくなって、ぎゅっと目をつぶった。
もうこのまま目を開けたくない。
なにがどうなったっていい。
じくじくと膿が広がってゆく音だけが、耳の奥で膨張していくのがわかった。
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