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「バカっ、起きろ!!」
切羽っつまった声が、止まっていた思考を呼び覚ました。
いったいどれくらいの時間が過ぎていたんだろう。
顔をあげて血の気が引いた。
わたしの自転車は、今にも歩道の縁石を踏み外そうと斜めに走り出していた。
青から黄色に変わろうとしている交差点の信号を目指して後方から突進してきたトラックの側面に、今にも接触しそうだった。
死ぬんだ。
瞬時にそう悟った。
でもその時
「くっそ!間に合え俺!!」
さっきの声が前方から突進してきて、トラックとわたしとの僅かな隙間に猛スピードで滑り込んだ。
何が起こっているのかわからないまま、わたしは自転車の主に車体ごと思い切り蹴り飛ばされてしまった。
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