260人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの……ごめんなさい、わたしのせいで」
久住君は何か言いたげに目の前に立ち尽くしていた。その表情はさっきよりすこし固くて、わたしの身体は反射的にこわばった。
「それはいいんだけどさ、こんなんじゃ入店拒否されそうだから、代わりにオムツ買ってきてくれない?」
久住君の視線の先にはちょっと曲がってしまった自転車があって、彼は心底困った顔をしただけだった。
「お……オムツ?」
「うん。ほら、あそこで」
前方にそびえ立つおおきな看板を彼は指差した。
最初のコメントを投稿しよう!