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お使いから急いで戻り、ケガの手当てをしようとしたけれど、手は震えてもたついて、ガーゼ一枚取り出せない。
「あのさ」
見兼ねた彼のその一言で、にじんでいた嫌な汗が背中を伝うのがわかった。
「やっぱよくないよ、あーゆーの。自殺行━━」
「ご、ごめんなさい!」
荷物を彼に押し付けると、いたたまれなくなってそのまま改札へとダッシュした。
「あっ、ちょっ神崎さん!」
聞こえないふりをした。ふりをして、逃げた。
「これ!忘れてるって!」
何を忘れたってかまわない。大事なものなんて、わたしいっこも持っていないから。
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