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千絵梨とは友達みたいに仲の良い姉妹だったのに、それがもう遠い昔のことみたいだ。
どんなくだらない話でも、いつも楽しそうに聞いてくれた。もちろん、倉持君のことだって。
彼と目があったこと。
おはようって返してくれたこと。
理科の実験のとき、同じ班だった彼の手にうっかり触れてしまったこと。
すべてが秘密で、宝物だった。
どんな些細なことも千絵梨と分かちあえているつもりだったのに、いつ頃からかふたりが付き合っているって噂が流れ出した。
そのときは姉に嫌われているともうわかっていたけれど、そんな噂を信じようとはしなかった。
いや、きっと目を背けていただけなんだ。
その証拠に、うやむやな気持ちはずっと胸にくすぶっていた。
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