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「勝手にユキを拉致すんなよな」
「おぉ理人かおかえり。おまえその怪我はどうした」
穴の空いた制服と俺の顔を交互に見て、オヤジも目を点にした。
「転んだだけ。たいしたことないよ」
「……そうか、それならいい」
母さんと違って、オヤジは喧嘩したのかとは聞かなかった。
ユキはオヤジの膝の上で大人しくしている。
絵本の原色を眺めていつもより上機嫌だ。
それにちょっと腹が立った。
俺といるときは甘え泣きばっかなのに。
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