2 理人

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「勝手にユキを拉致すんなよな」 「おぉ理人かおかえり。おまえその怪我はどうした」 穴の空いた制服と俺の顔を交互に見て、オヤジも目を点にした。 「転んだだけ。たいしたことないよ」 「……そうか、それならいい」 母さんと違って、オヤジは喧嘩したのかとは聞かなかった。 ユキはオヤジの膝の上で大人しくしている。 絵本の原色を眺めていつもより上機嫌だ。 それにちょっと腹が立った。 俺といるときは甘え泣きばっかなのに。
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