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「もうそろそろミルクの時間なんだけど。たまにはオヤジがやれば」
「……父さんが?」
オヤジは慣れない手付きでユキを抱き上げてから、部屋中を囲む本棚の空いている部分に本を戻した。
まだ首が完全にすわっていないユキを抱くには結構気を遣うしコツがいる。
オヤジは案の定カチコチで目も当てられねぇ。
小さな俺が、この人を助けなきゃと使命感に駆られるくらいオヤジはどんくさい人で、それは今も変わらない。
この不器用な手で育てられて、自分はよく無事にここまで大きくなれたもんだと思う。
でもそのお陰でたぶん、ひと通り身の回りのことができるようになった。
いや、そうならざるを得なかったといったほうが妥当かな。
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