3 みどり

2/18
260人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
気づいたらわたしはグリーンのおっぱいの人と隣どうしでホームのベンチに腰かけていて、自分が乗るはずだった電車を見送っていた。 「こういう日ってあるよね」 おっぱいの人が誰に言うでもなく唐突につぶやいたから、その人の横顔を見た。 ほとんどノーメイクで、無造作にひっつめただけの短い茶色の髪にはゆるやかなウェーブがかかっている。 耳たぶのちいさな宝石が、午後のわずかな光をひるがえしてぴかぴか光り頬はつるりと白く、唇はふっくらと艶めいていた。 さっき通せんぼされたときにぶつかったふくよかな胸元からは、甘ったるく懐かしい匂いがして、 これと似たものを知っていると思ったけれど、なかなか思い出せなかった。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!