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気づいたらわたしはグリーンのおっぱいの人と隣どうしでホームのベンチに腰かけていて、自分が乗るはずだった電車を見送っていた。
「こういう日ってあるよね」
おっぱいの人が誰に言うでもなく唐突につぶやいたから、その人の横顔を見た。
ほとんどノーメイクで、無造作にひっつめただけの短い茶色の髪にはゆるやかなウェーブがかかっている。
耳たぶのちいさな宝石が、午後のわずかな光をひるがえしてぴかぴか光り頬はつるりと白く、唇はふっくらと艶めいていた。
さっき通せんぼされたときにぶつかったふくよかな胸元からは、甘ったるく懐かしい匂いがして、
これと似たものを知っていると思ったけれど、なかなか思い出せなかった。
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