3 みどり

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長い上向きのまつげの先をこっちに向けて、 彼女は時間を紡ぐようにゆっくり笑った。 「嬉しいなぁ、会えて」 歌うような声。 「どこかで、会いましたか、わたしたち」 久しぶりに声をだしたノドは、がさがさなうえにだいぶ塞がってしまっていて、話したあと息つぎをしたら、一緒にひゅぅという空気のなる音がした。 「さぁ、どうかなぁ」 彼女は思わせ振りな笑顔を見せた。 「名前なんていうの?」 「神崎、つぼみです」 「つぼみちゃんね。あたしはみどり。ねぇ、あたしのことこれからなんて呼ぶ?」 「これから?」 ビックリしてしまった。 駅で偶然ぶつかっただけの相手にこれからなんてあるんだろうか。
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